ヘルメスヴィラを囲む環境(左)。カフェでの休憩(中)。館の前で描いていたのは授業だったか?(右)
続 ウィーンを愛して(11)公園巡り:ヘルメスヴィラ、市立公園など
ウィーン市交通局のHP(www.wienerlinien.at/)で検索した結果
ウィーン市西端、ウィーンの森が広がる丘陵地にヘルメスヴィラがあります。えぇ、Hermesvillaですから建物の名称ですが、散策路とそれが置かれた環境はズバリ公園です。
シシィゆかりの地です。行きましょう。ウィーン市の西方に位置するシェーンブルン宮殿を巡った後、ここを出発地として検索しますネ。例えば、14時前にシェーンブルン宮殿を発つとします。
[Wiener Linien]でJourneyを開き、[From: Shoenbrunn]を入力すると[Schloss Schönbrunn, Wien]が展開します。そして、[To: Hermes]を入れると[Hermesvilla, Wien]が選択できます。日時を入力し、検索実行! 検索結果の一例を冒頭に示しました。
H:Hermesvilla T:Lainzer Tiergarten
トラム60と路線バス55Aを乗り継ぎますが、各々の駅名と時刻、乗換時間や路線図が得られます。路線図は拡大すると、実に詳細に見ることが出来ます。例えば、出発地Aのシェーンブルン宮殿・庭園も実に詳細かつクリアに展開します。また、バス55Aの行き先Lainzer Torラインツ門からヘルメスヴィラまでの散策路が地図上では緑色の線で示されますが、地図の詳細さには驚くばかりです。
旅行者にとって、これぞ正しく“おもてなし”と評せる情報でしょう。2020年を迎える日本は?
55A路線(左上)。終点ラインツ門(左下)。ラインツ動物公園(左中)。散策路とヘルメスヴィラ(中・右)
路線バス55Aは、高級住宅街と判る丘陵地をほぼ西に走り、5分で終点のラインツ門に到着します。[Wiener Linien]の地図に出る散策路をアレンジし、時計回りに周回しましょう。ラインツ門をくぐると管理小屋があり、直進すると、ラインツ動物公園(保護区 T)が右手に広がり、左手には子どもたちのための遊具が置かれた公園があります。5月は、咲き誇る野草に目を留めつつ、そう、しゃがみこんで撮りつつの散策です。間もなく、林の向こうにヘルメスヴィラ(H)と一目で分かる建物が見えます。
静寂な環境の中に、上質・上品な城館と、これを支える方々の住まいなどの建物群が佇んでいます。皇妃エリザベートの心を癒すために、ウィーンの森に広がる宮廷の狩猟場に設けたのがヘルメスヴィラ。「愛妻・シシィが狩猟の合間に休息し、滞在するために建てた館・・・ ご立派!」の感想を抱きます。
ヘルメスヴィラを囲む環境(左)。カフェでの休憩(中)。館の前で描いていたのは授業だったか?(右)
ヘルメスヴィラ周囲の庭園は、フランス様式で、しっかりと整備されています。今日ではウィーン市が管理する十数館の美術館・博物館等WIEN MUSEUM(wienmuseum.at)の一つとして維持されており、城館の内部はカフェレストランを併設したシシィの記念館になっています。
心地良い環境に身を委ね、グループでにぎわう屋外席で、小生も白ワインを注文。自由旅行なので、ツアー特有の「時間ですよ~!」の掛け声に急がされることなくのんびりと・・・。
指導者がいて館などを描く10人に満たないグループにも出会いました。5月は庭園の薔薇も美しく、香りも楽しみながら憩います。
カフェでの飲食時間を除けば、バス停から1時間あれば、地図で示した時計回りのゆっくりとした散策が可能です。路線バスが15分毎(土日は20分毎)にありますので、時間を見ながらですが・・・。え?路線バスの検索ですか?[Busfahrplan Wien]で検索すると、ウィーン市営の市内路線バス番号が出ます。55Aをクリックすると[55A Lainzer Tor]行や、同発のダイヤが得られます。
館から北側に抜ける間道を散策(左)。車道は歩かず、森の雰囲気がある土の散策路をゆっくりと(右)
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ウィーン滞在も残りわずかです。市立公園にも立ち寄っておきましょう。ウィーンリング通り東外側の隣接地にあります。北西入口にある花屋さんの横から入り、蛇行歩きしつつ南側に抜けましょう。
公園内に池があり、近寄っても傍に居る水鳥たちが逃げることが少ない状況を体験します。自身、初体験はロンドンで、鴈など大型の水鳥たちも、人間を無視するがごとく、或いは、「公園の水辺の主はわれわれだ」と誇るがごとくで、しゃがみこみ、或いは、闊歩し、餌をついばんでいます。邪魔するのは犬と、はしゃいで走り回る人間の子どもかナ? 日本なら、湖山川や湖山池では、20-30mに近づくと、逃げてしまいます。水鳥たちの遺伝子がどのようにして変化し、人を避けるようになったのか・・・。
市立公園内の東側には地下鉄4号線とウィーン川が南北方向に並走しています。これら跨ぐ橋を越えると子ども用の遊具があるゾーンがあります。足元は小さな木片が敷き詰められています。ここに立ち寄って、子どもたち・親子が触れ合う雰囲気を体感するのは、小児科医ゆえでしょうか・・・。
子ども連れの家族、若者のグループ、水鳥にパン屑を与えている人など、市立公園で憩う姿は、芝生に座る、寝転ぶ、散策路沿いに並べられているベンチに座るなど多様です。
市立公園の象徴、金色のシュトラウス像が見えて来た(左)。大樹に育まれた環境は心地良い(右)
市立公園の象徴は、ヨハン・シュトラウスII世の黄金の立像です。西側を向いて立っているので、午前中は逆光になりますから、順光に照らされ金色に輝く午後~夕方に訪れるのがお勧めです。
大作曲家が根づいている街ウィーン。市立公園には大作曲家の記念碑・像があります。これらを訪ねて、公園内を散策することも一興です。探索しましょう。
黄金のヨハンシュトラウスII世の立像前には、通常、ささやかな人だかりがあります。着衣、皮膚の色、顔立ちなどから世界各国からの観光客と分かります。至近地には、珈琲などを売る自動車が停まってもいます。許可を得た出店ですネ。若者たちがはしゃぐ様子など、例外的に少々賑わいを感じます。
池の外周にいくつかある散策路沿いには、堂々としたフランツ・シューベルトの座像や、鳥の糞が頭に落ちて、汚れているアントン・ブルックナーの胸像にも出会えましょう。公園散策路の南西界隈、リング通りに出る小路の角に、“オペレッタの女王”と自評している[メリー・ウィドー]の作曲家フランツ・レハールの像もあります。ええ、“オペレッタの王様”は、シュトラウスII世の[こうもり]です。
好みの庭園・公園は、再々訪れています。鳥取に居ても同様でしょう。私は湖山在住ですが、夫婦で定番の散策先は、樗谿公園~太閤ヶ平、布勢公園~出会いの森や鹿野城跡公園などが定番です。
ウィーン市立公園は、実は、北側から南へと抜けると、正面にKonzerthausコンツェルトハウスが見えます。約200mの至近地にある同会場での演奏会は、開演が通常19時半であり、時間調整的に公園内を抜けることも再々です。同会場の大通り向かいにあるBeethovenplatzベートーベン広場に立ち寄ることも定番的で、大きなモニュメントの上にベートーベンの全身座像があり、詣でています。
市立公園名物の大作曲家の像:
J.シュトラウスII世(左)。F.シューベルト(左中)。A.ブルックナー(右中)。F.レハール(右)
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公園都市ウィーンには、“地球の歩き方”などに紹介されていない公園もあります。ステキなので、ご案内しておきますネ。Floridsdorfer Wasserparkの邦訳は見たことがありません。Floridsdorfフロリツドルフ地区にある水辺公園ないし親水公園と言えます。
フロリツドルフの場所ですか? はい。空港から市内に向かう近郊線S7に乗ると、地下鉄1号線・2号線と直結するPratersternプラーターシュテルンに至ることはご紹介済です。この駅から同じS7で3駅目、7分の乗車で着くのが、ウィーン市北端に相当するFloridsdorfで、U6の起点駅です。自身、この7分間の乗車区間は大切にしている、おススメの車窓観光スポットです。
Praterstern駅を発つと、鉄橋で、ドナウ本流を通過し、ドナウ島を通過すると、Neue Donau新ドナウも通過し、そして、Alte Donau古ドナウを通過します。北側、つまり、Floridsdorf駅に向かう左側車窓からは目的地Floridsdorfer Wasserparkの中心部分が眼下に見えます。
Wasserpark 点描。近郊線の高架橋をくぐると、カフェがあり(右中)、ドナウタワーも見える(右)
具体的な行き方ですか? ヘルメスヴィラに出かけた際と同様の手順です。
[Wiener Linien]でJourneyを開いて、例えば、[From: Praterstern]として、[To: Wasserpark]を入れると[Wasserpark, Wien]が選択できます。ダイヤの確認もですが、地図情報も必須です。机上旅行に関心がある方は是非遊んでください。
PratersternからS7でFloridsdorfへの路線地図と、ドナウなどの位置関係を示しました。
地図左の古ドナウの北西側盲端部・線路沿いWがWasserparkで、Tはドナウタワーです。
右の拡大図で、S7とU6が走る鉄橋下の通路を抜けると左手にカフェ(C) が見えてきます。静寂で、雰囲気が良い水辺のカフェ・レストラン La Creperie (www.lacreperie.at/)です。テラス席は自身の好みです。機会に恵まれれば、是非、ご一緒しましょう。
2012年5月以降、7年間で8回(秋が2回)のウィーンは各々ホテルに7・8連泊し、主に夜のオペラや演奏会を主体に研修を重ね、昼間は市内・近郊に出かけてきました。まだまだご紹介しきれていない訪問地や、訪れていない地・行きたい場所も多くあります。自身、想定外の生涯研修機会になりました。感謝至極です。
2年間の連載12回目・最終回は、大相撲ならば肩透かし的な研修成果の記録です。