ハウプトアレー横を点描:木製の子ども用遊具(左)。木片を敷き詰めた散策路(中)。犬の散歩風景は定番(右)
続 ウィーンを愛して(10)緑のプラーター
プラーター公園内Stadion界隈の大きな木々(矢印は乗用車)。バス77Aに乗車(右)し、ルストハウスへ
ウィーンは公園都市で、象徴するのが市内中心部から至近にある“緑のプラーター”として親しまれている広大なプラーター公園です。
近年の訪問で、各々8連泊しているホテル#は、ウィーン国際空港から国鉄の近郊線S7で、乗換なしで到着するウィーン市の北東側に位置するPratersternプラーターシュテルン駅界隈。駅ないしホテルから至近地にプラーター公園の北西端があります。ええ、便利な場所で、シングル室があり、格安です。
プラーター公園は広大なので、一度に全体を体験するのは大変です。ゾーンによる個性もあるので、分割して臨みましょう。
西端が近郊線、地下鉄1・2号線、トラム0・5番線が発着するPratersternプラーターシュテルン、東端がLusthausルストハウスです。
北西から南東方向に二車線の自動車道と見間違う一直線のHauptalleeハウプトアレー(英 Main Avenue)なる全長4.5kmの舗装道があります。一般の自動車は進入禁止で、車両は、通常は、清掃車に出会う程度です。
車両に含めるかどうか分かりませんが、観光用の4頭立ての馬車は、朝の出勤時刻帯に少なからず遭遇します。白馬、栗毛などの馬、多様なデザイン・色調の馬車や若い女性を含む御者を眺めるのは、朝食後の散策における楽しみです。えぇ、日本ではお目にかかれない光景ですからネ・・・。
西側の起点、高架のプラーターシュテルン駅からは映画「第三の男」で著名になった大観覧車が見え、その界隈は遊園地で、園内に入るのは無料です。私事、一度、同ゾーンに立ち寄り、子どもたち・家族を眺めつつ、カフェでくつろいだことがありますが、各々有料の遊具は体験していません。
歴史ある大観覧車にも、実は、小生は乗ったことがありません。アナタと行く機会があれば、そして、アナタが関心を抱くならば、初体験しましょうか・・・。
遊園地ゾーンの東側は広大(地図)で、小生が好む“みどりのプラーター”です。
西側約三分の一付近にTram 1号線の起点駅でもあるHauptallee駅があります。同路線はリング通りに出て、反時計回りに約2/3周する観光路線と評せます。このトラムの車窓観光はおススメです。
路線バス77Aはルストハウスに向かう(左)。主並木道と訳せるハウプトアレー界隈を歩きます。その横には木片が敷き詰められた側道などがあり、遊具のあるゾーンも。観光用馬車との遭遇は定番です
中央付近には路線バス77Aがハウプトアレーを直角に貫いて走っており、交わるバス駅はStadionbadです。ここの北側には大きな多目的スタジアムがあり、高架鉄道になっている地下鉄2号線のStadion(スタジアム至近)駅が隣接しています。また、東側至近地にウィーン最大の複合スポーツ施設・レジャープールがあり、よって、バス駅の名称は造語のStadionbadですネ。
路線バスに乗り、“みどりのプラーター”の東端、ルストハウスに行ってみましょう。はい。ここを起点にハウプトアレーを歩いてみましょう。
路線バス77Aの市内側の起点はErdbergstr./ Schlachthausgasse駅で、Tram 18号線の北端に位置する同名駅と、隣接する地下鉄3号線駅があります。路線バスやトラムの駅名は交差する道路が合わせた名称が多々あります。自身、今でもウィーンのトラム駅、とくにやバス駅の名称には慣れません。道路名に馴染みがないためと承知しています。
国内の例では、中国自動車道のIC[滝野社]を、当初は[タキノシャ]なる地名と勘違いしていました。[滝野・社]なら分かり易かったのですが・・・。
ところで、バス駅の看板に大きく書かれているHALTESTELLEは、英語の類似性がある用語がなく、浅学な小生は、戸惑いを感じるのですが、バス停留所の意味です。
そして、Tram18号線は、ベルヴェデーレ宮殿南門至近から中央駅前を通過し、ウィーン西駅を結びます。いわば市内の南回り観光路線です。えぇ、主だったトラム路線を覚えておくと移動に便利です。
77Aをルストハウスで下車します。プラーター公園は宮廷時代の狩猟地、ルストハウスは狩猟館で、現在はレストランです。自身、時間帯が合わず、中には入ったことがありませんが・・・。
ハウプトアレーから外れ、閑散とした細長い池沿いの散策路を巡った。子連れの家族、単独で散策する人
ルストハウスの手前(北側)に同名のバス停があります。下車し、時計回りにルストハウスを約3/4周歩くと、ハウプトアレーが伸びています。さぁ、ゆっくりと歩きましょう。アスファルト舗装のハウプトアレーではなく、大きな樹木に包まれるように並走している歩きやすい側道をネ!
ここに至れば、多くを語る必要はないでしょう。上質な緑の環境に親しみ、ゆっくりと歩きましょう。
数か所で、子ども・家族向けの遊具が配置されたミニ公園もあり、ウィーン市民にとって憩いの場であることがうかがえます。
ハウプトアレー横を点描:木製の子ども用遊具(左)。木片を敷き詰めた散策路(中)。犬の散歩風景は定番(右)
はい。舗装されたハウプトアレーは極力避けて、側道を池沿いに歩きましょうよ。
ハウプトアレーに沿う木立に包まれた側道、いわば主側道は、木片が敷き詰められています。足に優しく、うらやましい環境です。えぇ、確かに、舗装路と比べれば、メインテナンスに手間を要しましょうし、費用もかかるでしょう。が、そのことを承知で、人への優しさが優先されている文化・行政だと感じます。それ以外にも未舗装の小路が多くあります。いわば、森の中をさまよえる小路です。
社会民主主義と評せるオーストリアの消費税は13%で、ウィーン市税が別に3.2%と、日本と比べれば高いのですが、それに見合う環境整備や社会保障制度が整っているようです。
例えば、年金然りで、現状では58歳まで勤めると、現役時代の給与の80%が生涯保証されるとか・・・。ゆえに、定年延長ではなく、さっさと退職し、余暇活動を大切にする人生になるわけです。オランダでも垣間見たことですが、午後3時頃からは、学童・生徒は学校から離れて、地域の大人たちが支える多種多様な自主的な活動に精を出すわけです。日本の教師が休日返上で、学校に詰める(時間外手当も出ない)厳しい職責慣習からすればうらやましい限りです。
まるで森のような“緑のプラーター”を散策中に子どもの声が・・・。ン!見えた。保育中ですネ(左・中)5月のウィーン、プラーター公園は、花を咲かせている樹木も目立ちます。。大樹の下にトラムが!(右)
子どもたちの声が聞こえてきました。近づくと、智頭なら「森の幼稚園」を連想する幼稚園の野外活動と言ったところでしょうか・・・。
5月のウィーンは、新緑と共にライラックをはじめとした大樹の花が多く、とにかく嬉しい環境です。市内滞在中は、時間調整を含め、機会を見出して、散策するゾーンを変えて、プラーター公園に親しんでいます。はい。冒頭でご紹介した通り、ハウプトアレーを分割して歩いています。細長い池Heustadelwasser ホイシュタデルヴァッサー界隈に限らず、各々、心地良いですから・・・。
え?秋ですか? 西欧の秋は“Golden October”の呼称があり、これまた秀逸です。“緑のプラーター”も多様な色合いに染まります。秋にウィーンを訪れる機会も、夜は勿論オペラや演奏会で、日中は公園などを散策し、或いは、美術史美術館やカフェに入り込んでいます。
11月初旬のプラーターは木々の色彩が多様:ハウプトアレーを散策する子連れの家族(左)や木片が敷き詰められた側道には乗馬の人(左・中)、ハウプトアレーを自転車で漕ぐのは心地良さそう。清掃車も(右)
いかがですか?“緑のプラーター”は、ウィーンを訪れた際には、是非、“現場体験”をして欲しい願いがあります。少々冷える日もありますが、秋のプラーターもお勧めです。